はあ~~、お呼びですかぁ~~

白衣の堕天使のぼやき

集団生活苦手な現代人

病院には、個室(特別室もある)2人部屋 大部屋と部屋が分かれている。個室や2人部屋には「室料差額」という別料金がかかる。これは高額医療費に含まれない金額なので、自腹を切る事になる。概ね、個室代は1万円前後 2人部屋が2千円前後だが、新しい病院できれいな所は結構高額になっている。
昭和の時代は大部屋と言えば、4人から8人前後の部屋で、ベッドの間には仕切りはなく、今のようにカーテンでベッドがすっぽり覆われる事もなかった。
なので、同室者たちは「同病相哀れむ」というわけで、結構仲よくやっていた。ときにひどいイビキの人がいても「も~~すごいいびきだねえ、あんたより早く寝ないとね」というくらいで、そんなに揉める事はなかった。あの頃は「お互いさま」という意識が浸透していたから。
所が、今は?というと、イビキで苦情が殺到。最悪は夜中にイビキをかく患者のベッドを蹴ったり、罵声を浴びせたりで、部屋替えしたり、夜間だけ別室(空き部屋)を使ったりと対応が大変。耳栓を無料で配布するが、効果はあまりない様子。
また、活発な患者とそうでない患者が一緒になると、これも揉める。さらに、クレーマーのような患者さんと一緒でも揉める。以前、モーレツなクレーマーさんが居たのだが、同室者が「あまりにも看護師さんや、薬剤師さんが気の毒で、あんな人とは一緒に居たくないんです」と同室拒否が多発し、クレーマーさんは4人部屋を一人で使った・・なんて事もある。
これも、「個人主義」のせいなのか?人と付き合うのが下手になってきたのか?これから先は大部屋は無くなっていくだろう。ある病院は新築した際、すべてを個室にして、差額の無い部屋(トイレ、洗面台のみある)、差額ありの部屋(トイレ、洗面、浴室、ソファーなど設置)とに分けた。大部屋がない分、患者の入れるベッド数は減るから収入は減るのだろうが、患者には快適な入院生活を提供できる。患者に選ばれるには、医師の腕も大事だが、こういう入院生活の快適さ、も重視されるようになった。
良い事なんだか、悪い事なんだか・・・。

野生動物は群れで暮らして、危険から身を守るんだけどなあ

人生ドラマは産婦人科にあり

私が産婦人科に勤務していた頃。
東病棟には切迫流産や切迫早産の妊婦さんが入院していて、反対の西病棟には、中絶する人が一時休養する部屋があった。子供が欲しくても、中々できなくて、やっとできたと思ったら風疹になり、やむなく中絶。今度こそ!と思ったら切迫流産。ベッドに張り付いて、動かずにじっとして点滴に耐えて、8か月を迎える頃、採血したら、血液に牛乳みたいな色のが混ざってた。動かないから中性脂肪などが上がってたのだ。その妊婦さんは無事出産したが、今頃お元気でいるだろうか・・・なんか病気になっていそうな気がする。
明日が予定日の妊婦さん、朝から胎動がなくなったので、いよいよ出産かと思ったら、臍帯が石灰化しておなかの中で胎児は死亡。薬で出産させて、亡くなった子供を一晩抱いて泣いた。たしか、学校の先生だった。
某有名進学校の女子生徒、遊びが過ぎて妊娠。どういう手続きしたのかわからないけど、5か月になろうかという子供を無理やり出産にもっていく方法で中絶。掻把(掻きだす方法)とちがって原型のまま出てくるので、ネズミの赤ちゃんのような胎児を娩出。その時の女子生徒の言葉は「へえ~~人の形してんだ」と、涙一つ見せなかった。
成績はいいのか知らないけど、こういう女の子は人間じゃないと思った。
何人もの胎児が闇に消えた。娩出して口を開けて息をしようとする胎児も居れば、無脳児という大脳の無い子もいた。どうして普通に産んでやれなかったのかと、悲しい気持ちでいっぱいになる。
かと思えば、ある女性、妊娠5か月で、どうしても中絶したいと入院してきた。理由は「旦那の子か不倫相手の子か自分でもわからない」から。午前中は不倫相手、夕方は旦那さんが面会にくる。不思議と鉢合わせにならなかった。医師は断固として中絶はせず、妊娠悪阻(ひどいつわり)の治療をして退院させた。さあ・・どうなったのかなあ。あれから20年近くなるから、生まれていたら20歳。ここで小説なら、その子は不倫相手の子供と出会って恋愛して、「お前たちは兄妹なんだ、結婚できないんだ」なんて話になるのだろうが、現実はもっと複雑かもしれない。
外来で、妊婦健診に来た女性。血液検査で性病が発覚。旦那さんに対する不信感いっぱいで、泣きながら帰っていったが・・・その後の修羅場が目に浮かぶ。
本当に「生と死」のドラマががありありと見える産婦人科。あまり楽しい職場ではなかった。

ちなみに、私はクリスチャンだが、処女は懐妊しないと思う。マリアさま、ごめんなさい

お肉・・差し上げますけど?!

「あんた、ええ体格してるな、うちの家内にわけてくれんか」
「何回見ても、ええ体格してるな、どうやったらそんな体格になるんかね」
これは先日私が患者さまからいただいた「お言葉」
当然、お返事は「お肉でしたら、いくらでも差し上げますよ」
「しっかりご飯食べれば、こういう体型になれます」となる。
これに反論なんてできない。笑ってスルーするしかないのが現実
しかし、看護師の言葉や態度は、ちょっとの事で「クレーム」
お客様に逆らえない接客業と似ているけど、患者さんは患者さまではないと思う。
医師、看護師、患者が一緒になって病気と闘う、いわば「同志」
昔は「お医者様」今は「患者さま」どっちもおかしいのだ。
それを、患者の名前も出さずにフェイスブックで友達のみに愚痴ったら
友達登録してる師長から「個人情報保護に抵触するのでやめて」と言われた。
まあ、自分の実名や病院名が出てるから・・でも・・・だめなんかなあ・・・
今は「個人」を尊重するあまり、言論や表現の自由がなくなった。
個人主義なので、患者さんも集団生活ができない。
「いびきがうるさい」と同室者のベッドを蹴り上げる人。4人部屋で一人を村八分にする人・・なんとかならないものかなあ・・。