はあ~~、お呼びですかぁ~~

白衣の堕天使のぼやき

木の芽立ち

春になると、ちょっとおかしい人が多くなる。

精神科でもあるまいに、看護師に暴言を吐く患者、男性部屋と女性部屋で「ジロジロ見たの見ないの」でもめる。
昭和の時代の整形外科病棟は、みんな和気あいあいとしていて、大部屋の患者同士で「同病相哀れむ」状態。お互い助け合って療養していた。今のように入院期間に制限はなく、それぞれ、納得がいくまで療養して退院していった。
死ぬ病気じゃないから、患者がみんな元気で、こっそり病院を抜け出して焼肉を食べに行く患者や、パチンコに行く患者など、なんだか明るい病棟で、看護師(当時は看護婦)もネチネチ怒るでもなく、「だめですよぉ~~」程度で収まっていた。
なのに、今の整形外科病棟は、「お茶をこぼした」「スプーンがついていない」「言い方が気に入らない」など、ほとんど「言いがかり」状態で看護師や患者同士でクレームばっかり。病院も客商売になっているので、患者さんは言いたい放題!看護師に非がなくても謝る。死ぬ病気じゃないから、元気な分、よく口が回る。暇だから、病院職員の「あら捜し」なにかクレームにつながることはないかと、メモを取る患者もいる。
してもらって当たり前、「こっちは治療費払ってるんだから、あんたら、それで給料もらってるんだろうが!」と、横柄な態度。
すべての患者がそうではない。やはり、昭和生まれの高齢者は礼儀をわきまえている患者が多い。
「お世話になります。無理言ってすみません」こういう言葉が出てくるが、若い世代(というか30代から40代が多い)は特にクレーマーが多い。この時期、やたらとクレームが多いのは木の芽立ちのせいなのか・・・・「こんな仕事やってられるか!」と思うこの頃である。


ああ、面白くない!!

ある日のこと、ナースステーションには、私と師長Aと主任Bがいた。私は患者さんの依頼を受けて、ギプスのあたりを和らげる物を製作中、師長は席に座っていて、主任はフリーで動いていた。そこへナースコール。主任が出て対応しに行った・・・とたん!
「ちょっと、主任さんに行かせたらだめよ、あなたが出なさい」ときた。
元々、主任Bをひいきしている師長。先日は主任Cと論争。いつも主任Cにはきつくあたる。(まあ、しかたない部分もあるのだが)
人間、パーフェクトな人はいない。だから、私も師長にも欠点がある。師長に言われるのはこれ以外にも多々あるが、それは師長の意地が悪いだけではない。いわれる私が言われるような事をしているわけで・・。
と、自分に言い聞かせているのだが、やっぱり腹が立つ。
なんか、本当に人間と付き合うのは疲れる。
どうやったら、このモヤモヤした不快な気分が晴れるのだろうか・・・。


腹立つわ~~~~

女優

看護師だからなのかわからないけど、私は何人もの顔を持つ。
嫌な患者にでも「痛みはどうですか?お薬をお持ちしましょうか?」と優しく声をかけられる。腹の中では「大嫌い」と思っているのだが、その時は「やさしい看護師」になりきっていて、本気で心配しているのだ。
そして、ナースステーションに帰ると、我に返り「あの患者、大っ嫌い」と思う。
そのうち、段々自分のどの顔が本当の自分なのか・・・わからなくなる時があり、同僚や上司に対しても、敵を作らないように、悪く思われないようにと無難に言葉を選ぶ自分に疲れ果てて、人とかかわるのが嫌になる。
自分の家族に対しても、ある程度の気遣いをするから、家に居ても疲れてしまう。
だから、自分が本当の自分で居られる場所を作らないと壊れてしまいそうになる。
時々、気分次第で怒ったり、怒鳴ったりする人に対して「うらやましいな」と思う。
言いたいことが言えて、感情を爆発させて、なんてうらやましいんだろう。それで相手が傷ついたり、悲しんだりするのは別として、本人にすれば「言いたいこと、言ってやった!」という解放感と満足感でいっぱいなんだろうなあ。
ああ、でも私にはできない。
人は傷つけたくない。まあ、自分もだけど・・。
なんか、ないかなあ~~自分を解放する居場所。